まえがき(城戸光世/塩田弘/松永京子)
第1章 ロマン主義的環境主義
◉概説(大野美砂)
1 鋭い観察眼と詩的想像力の融合:ウィリアム・ワーズワス『湖水地方案内』(吉川朗子)
2 超絶主義思想のマニフェスト:ラルフ・ウォルド・エマソン『自然』(高橋勤)
3 一九世紀中葉のアメリカ西部を巡る越境的テクスト:マーガレット・フラー『五大湖の夏』(城戸光世)
4 野生の哲学・ニューパストラリズムの先駆者:ヘンリー・デイヴィッド・ソロー『ウォールデンー森の生活』(伊藤詔子)
5 ロマン主義的想像力と森:リディア・マリア・チャイルド『ホボモク』(辻祥子)
6 ピューリタンの共同体と自由な森のあいだで:ナサニエル・ホーソーン『緋文字』(大野美砂)
第2章 エコゴシック
◉概説(城戸光世)
7 エコロジーを犯す罪と永遠に続く贖罪:サミュエル・テイラー・コウルリッジ「古老の舟乗り」(吉川朗子)
8 人類絶滅の恐怖:メアリー・シェリー『最後のひとり』(川津雅江)
9 エコ・カタストロフィからポストヒューマン的世界へ:エドガー・アラン・ポー「アッシャー家の崩壊」(池末陽子)
10 奴隷制の恐怖にとり憑かれた風景:ハリエット・ビーチャー・ストウ『アンクル・トムの小屋』(大野美砂)
11 ラフカディオ・ハーンと自然表象:ラフカディオ・ハーン『チータ』(齊藤みどり)
12 エコ・ゴシック・ホラー映画の記念碑的作品:ダニエル・マイリック/エドゥアルド・サンチェス『ブレア・ウィッチ・プロジェクト』(中垣恒太郎)
13 人類の終焉と始まりを描くディストピア三部作最終章:マーガレット・アトウッド『マッドアダム』(城戸光世)
14 エコゴシックとしての「ニュー・ウィアード」 気候変動フィクション:ジェフ・ヴァンダミア『全滅領域〈サザーン・リーチ1〉』(中垣恒太郎)
第3章 水
◉概説(岸野英美)
15 大洋をゆく鯨、活字の海をゆく鯨:ハーマン・メルヴィル『白鯨』(高橋愛)
16 川の流れの光と闇:マーク・トウェイン『ミシシッピの生活』(浜本隆三)
17 水と陸の境界のエコロジー:レイチェル・カーソン『海辺』(浅井千晶)
18 干拓地における人間の営みと歴史観:グレアム・スウィフト『ウォーターランド』(日臺晴子)
19 海の台湾先住民と核の問題:夏曼・藍波安『大海に生きる夢』(李文茹)
20 終末からの再生—水と北米先住民:トーマス・キング『亀の背』(室淳子)
21 水の表象と倫理:リタ・ウォン『底流』 (岸野英美)
第4章 動物/生き物/植物
◉概説(塩田弘)
22 シルコウのソノラ砂漠のマルチスピーシーズな共同体:レスリー・マーモン・シルコウ『トルコ石の岩棚』(横田由理)
23 有機農業の遺産:デイヴィッド・マスモト『桃への墓碑銘』(周序樺/岸野英美訳)
24 森の孤高な少女:セアラ・オーン・ジュエット『白さぎ』(大田祐慈)
25 馬と女性と家父長制の転覆:ロビンソン・ジェファーズ「葦毛の種馬」(菅井大地)
26 森に耳を傾けることを学ぶ:リチャード・パワーズ『オーバーストーリー』(マイケル・ゴーマン/松永京子訳)
27 死と再生の狭間に花々が語る魂の詩:ルイーズ・グリュック『野性のアイリス』(塩田弘)
28 北米の原生林で紡がれる大自然の物語:大竹英洋『ノースウッズ』(浅井千晶)
29 不可視的なものと想像妊娠:津島佑子『寵児』(村上克尚)
第5章 戦争
◉概説(菅井大地)
30 先住民の生活基盤を奪う動物大殺戮:シャーマン・アレクシー『リザベーション・ブルース』(大島由起子)
31 戦争小説における気象:アーネスト・ヘミングウェイ『武器よさらば』(菅井大地)
32 冷戦期の戦争と科学:カート・ヴォネガット『猫のゆりかご』(中山悟視)
33 演じられる詩:ボブ・ディラン「戦争の親玉」(谷岡知美)
34 戦争小説と土地の表象:ティム・オブライエン『カチアートを追跡して』(渡邉真理子)
35 沖縄における観光と開発:大城立裕『華々しき宴のあとに』(村上陽子)
36 身体化された戦争の暴力の痕跡(トラウマ):韓江『菜食主義者』(崔真碩)
37 戦争映画における汚染の不在:キャスリン・アン・ビグロー『ハート・ロッカー』(塚田幸光)
第6章 病/感染症
◉概説(菅井大地)
38 都市小説における黄熱病:チャールズ・ブロックデン・ブラウン『アーサー・マーヴィン』(山口透)
39 次世代に何を受け渡すのか:ジャック・ロンドン『赤死病』(菅井大地)
40 「隔離」の島で探すアイデンティティ:ジャン=マリ・ギュスターヴ・ル・クレジオ『隔離の島』(山根祥子)
41 民族を蝕んだアルコール依存症との闘い:ヴェルマ・ウォーリス『自立』(林千恵子)
42 不知火海の渚から近代社会を見抜く言魂:石牟礼道子『苦海浄土』(澤田由紀子)
43 カナダの「ダーティ・ネイチャー・ライター」:デイヴィッド・ヒューバート『ケミカル・ヴァレー』(荒木陽子)
44 マンガによるコロナ禍の日々をめぐる記録史料: —グラフィック・メディスンの実践ケンドラ・ボワロー、リッチ・ジョンソン『COVIDクロニクルズ』(中垣恒太郎)
第7章 移動
◉概説(塩田弘)
45 炉辺の夢、自由への逃走の果てに:ハリエット・アン・ジェイコブズ『ある奴少女に起こった出来事』(稲冨百合子)
46 グローバリズムへのアンチテーゼ:ジョン・スタインベック『怒りの葡萄』(中島美智子)
47 ポストノスタルジアの旅:ジョナサン・サフラン・フォア『エブリシング・イズ・イルミネイテッド』(三重野佳子)
48 狼と核と人間:コーマック・マッカーシー『越境』(森兼寛登)
49 都市のネイチャーライティング:ハリエット・マレン『都市の回転ーある短歌日記から』(菅井大地)
50 エスニックナラティブを超えた抵抗の語り:カレン・テイ・ヤマシタ『三世と多感』(牧野理英)
51 オルタナティブなライフスタイルの探求:ナナオ・サカキ「メモランダム」(塩田弘)
第8章 環境とアクティヴィズム
◉概説(岸野英美)
52 ウィルダネスと文明:ジョン・ミューア『はじめてのシエラの夏』(上岡克己)
53 ウィルダネスと環境アクティヴィズム:エドワード・アビー『砂の楽園』 (上岡克己)
54 エコロジーのユートピア:アーネスト・カレンバック『コンプリート・エコトピア』(塩田弘)
55 二一世紀ロックの新地平と高まる環境意識:リンキン・パーク「ぼくがしてきたこと」(岸野英美)
56 ハリケーン災害をめぐる少女の自立と環境レイシズム:ジェスミン・ウォード『骨を引き上げろ』(中垣恒太郎)
57 湿地のエコミステリーの傑作:ディーリア・オーウエンズ『ザリガニの鳴くところ』(伊藤詔子)
58 農村の同盟、ウォーター・プロテクターズ、 命のつながり:アッシュ・デイヴィッドソン『ダムネイション・スプリング』(マイケル・ゴーマン/松永京子訳)
第9章 エコフェミニズム
◉概説(浅井千晶/城戸光世/松永京子/岸野英美)
59 アメリカ西部の大地を甘美な記憶で捉えるクィア作家:ウィラ・キャザー『マイ・アントニーア』(山本洋平)
60 喪失への哀愁——自然破壊と黒人女性の友情:トニ・モリスン『スーラ』(長尾麻由季)
61 日常をつむぐ—エコクリティシズムと ブラック・フェミニズムの交差:ヌトザケ・シャンゲ『サッサフラス、サイプレス、インディゴ』(三宅由夏)
62 エコフェミニズムから読むクィア的未来:新井素子『チグリスとユーフラテス』(原田和恵)
63 多様な種とセクシュアリティ:ヒロミ・ゴトー『カッパの子ども』(岸野英美)
64 エコフェミニズムとクィア・エコロジーを体現する 〈超身体的〉作品:伊藤比呂美『河原荒草』(森田系太郎)
65 書くことが叶わなかった女性たち:テリー・テンペスト・ウィリアムス『女性が鳥だった頃』——声による五四の変奏曲(岩政伸治)
66 シエラ・ネヴァダに浮かび上がる人種とジェンダー:ニーナ・ルヴォワル『ロスト・キャニオン』(渡邊真理香)
第10章 植民地主義
◉概説(松永京子)
67 ロシアの帝国主義と文学:アレクサンドレ・カズベギ『父殺し』(五月女颯)
68 植民地化されるアフリカの地と知:チヌア・アチェベ『崩れゆく絆』(大池真知子)
69 先住民族の土地と言葉、共生とレジリエンス:ジョイ・ハージョ『彼女には馬がいた』(黒住奏)
70 SF小説における移動者の環境負荷:グレッグ・イーガン『ディアスポラ』(湊圭史)
71 カリブ海域の環境と表象:エドウィージ・ダンティカ『海の光のクレア』(齊藤みどり)
72 日本的な「自然」への挑戦:森崎和江『森崎和江詩集』(西亮太)
73 入植者植民地主義(セトラーコロニアリズム)とパレスチナの環境:アダニーヤ・シブリー『とるに足りない細部』(田浪亜央江)
74 ナバホの土地と文化をめぐるミステリ:グラハム・ローランド『ダーク・ウィンズ』(松永京子)
第11章 ポストディザスター/ポストアポカリプス
◉概説(城戸光世)
75 迫りくる放射能の恐怖:ネヴィル・シュート『渚にて』(真野剛)
76 哀しみの先の「崇高(“the Sublime”)」:ジュリエット・コーノ『ツナミの年』(牧野理英)
77 災害発生時に生起する相互扶助を描く新たなユートピア論:レベッカ・ソルニット『災害ユートピア—なぜそのとき特別な共同体が立ち上がるのか』(熊本早苗/菅井大地)
78 ハリケーンの被災体験とその後の人生を描く グラフィック・ドキュメンタリー:ジョシュ・ニューフェルド『A. D.—大洪水後のニューオーリンズ』(中垣恒太郎)
79 複合的なまなざし:呉明益『複眼人』(李郁蕙)
80 災後文学としての多和田作品の出発点:多和田葉子『献灯使』(澤田由紀子)
81 終末世界を生き抜く母親の強さ:メーガン・ハンター『終わりからの始まり』(真野剛)
82 荒野の生存倫理を問い直す 母娘の近未来サバイバル・ストーリー:ダイアン・クック『静寂の荒野(ウィルダネス)』(城戸光世)
83 アニメーションで描かれる災害:新海誠『すずめの戸締り』(真野剛)
第12章 放射性物質の言説
◉概説(松永京子)
84 「唯一の被爆国」言説への批判:金時鐘『地平線』(川口隆行)
85 核とクジラと俳句:ソムトウ・スチャリトクル『スターシップと俳句』(湊圭史)
86 核実験の記憶の物語:ロラン・シャケノヴィチ・セイセンバエフ『世界が崩壊した日』(溝渕園子)
87 核廃棄物による聖なる土地の汚染:ルドルフォ・アナーヤ『シアの夏』(水野敦子)
88 掘り起こされる原爆の記憶とトラウマの語り:ナオミ・ヒラハラ『大きな罰(バチ)の夏』(松永京子)
89 放射能により一変する環境と文学:川上弘美『神様2011』(芳賀浩一)
90 人体と放射能の想像的な絡み方:小林エリカ『トリニティ、トリニティ、トリニティ』(朴恩斌)
91 グラウンド・ゼロの沈黙:林京子『トリニティからトリニティへ』 (中野和典)
第13章 気候変動
◉概説(マイケル・ゴーマン/松永京子訳)
92 太陽光発電をめぐる滑稽な人間模様:イアン・マキューアン『ソーラー』 (浅井千晶)
93 オオカバマダラの不可思議な飛来が示唆する 気候変動とその影響:バーバラ・キングソルヴァー『飛翔行動』(浅井千晶)
94 リバタリアンの幻想から腐敗した新世界へ:チャンネ・リー『その満潮の海に』(マイケル・ゴーマン/松永京子訳)
95 不確実な未来における「最後の雪」の記憶:ルイーズ・アードリック『生ける神の未来の家』(松永京子)
96 気候変動活動家による詩集:キャシー・ジェニトル=キジナー『開かれたかごーマーシャル諸島の浜辺から』(一谷智子)
97 気候変動を描く惑星的リアリズム小説:アミタヴ・ゴーシュ『ガン島』(芳賀浩一)
第14章 ポストヒューマン
◉概説(浅井千晶)
98 人間と動物の境界の攪乱:ハーバート・ジョージ・ウェルズ『モロー博士の島』(中村善雄)
99 中国SF小説におけるポストヒューマンとエコロジー:劉慈欣『三体』(山本秀行)
100 ゼンマイ復興期のバイオパンク:パオロ・バチガルピ『ねじまき少女』(巽孝之)
101 未来の考古学:ドン・デリーロ『ゼロK』(渡邉克昭)
102 近未来から現代社会への警鐘:マルク・デュガン『透明性』(平瀬洋子)
103 AIは愛と共感を理解できるのか?:カズオ・イシグロ『クララとお日さま』(中村善雄)
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