現代アイルランドの劇作家たちは、
どのようなドラマツルギー（＝劇作術・演劇観）で
歴史や風俗、人を描いたのか。

W.B. イェイツ、ショーン・オケイシーといった19 世紀を代表する劇作家から、
サミュエル・ベケット、マーティン・マクドナーなど……アイルランドの劇作品を多様な視点で紹介する一冊。

【主な目次】

第１部　複合の視点

１　悲喜劇

シング『谷間の影』／フィッツモーリス『パイ皿』／オケイシー『狙撃兵の影』／ジョンストン『黄河の月』

２　ダブル・フォーカス

イェイツ『骨の夢』／ベケット『クラップの最後のテープ』／レナード『おやじ』／マーフィ『帰郷の会話』

３　境界域

イェイツ『窓ガラスの言葉』／フリール『ワンダフル・テネシー』／バリー『大英帝国の執事』／ボルジャー『アーサー・クリアリーを悼む』　

４　アイロニー

コラム『土地』／ロビンソン『教会通り』／オケイシー『こけこっこーダンディ』／フリール『ボランティアズ』

５　語り

フリール『霊感療法師』／マーフィ『ジリ・コンサート』／マクファーソン『堰』／マクドナー『ピローマン』

第２部　異なる視野

６　北アイルランド

パーカー『北天の星』／デヴリン『われら自身』／ミッチェル『野獣が眠るとき』／マクギネス『カルタゴの人々』

７　女性

ディーヴィ『ケイティ・ローチ』／キーン『ビッグ・マギー』／キルロイ『コンスタンス・ワイルドの秘密の転落』／カー『ザ・メイ』

８　マイノリティ

シング『鋳掛屋の婚礼』／フリール『上流階級』／キルロイ『ローチ氏の死と復活』／バリー『シャーキンの祈り』

９　多文化

オケイシー『銀杯』／マクギネス『私を見守ってくれる人』／オケリー『亡命！　亡命を！』／コラム『モイツーラ』

10　　悲劇と喜劇──結びに代えて

イェイツ『デアドラ』／シング『海へ乗り出す人々』／グレゴリー夫人『噂の広まり』／オケイシー『紅い塵』