「戦前・戦中」が迫り、
核が使用される危機に瀕した
今日への警鐘
被爆後の市井に生きる人々の姿を活写した代表的長編二作品のほかに、
増補した遺稿「世に迷う」ほか諸短編、鋭く社会を問うエッセイの数々と充実した収録内容。
「人々は原子爆弾が自分からは遠い広島と長崎に落ちた天災のようなものであり、アメリカが年中実験しているにすぎないもので、自分等には格別関係のないものだという風に見ている様子です。」(「作家の態度」より)
人間襤褸
夕凪の街と人と
半放浪
海底のような光――原子爆弾の空襲に遭って
一九四五年の夏
『屍の街』序
作家の態度
生き残りの心理
文学のおそろしさ
ノイローゼの克服
行進――死者の魂への共感
十五年たったというけれど
世に迷う
【解説】
「忘却できぬ原爆の記録の継承
――今を問い未来に発信する烙印としての表象」(長谷川啓)
増補新版 解説
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