「以前と変わらぬままでいられるものなど、
決して存在しない」
若者の心の成長発展の過程を清冽にうたいあげた
アメリカの国民的詩人の第一詩集を新訳でお届けします。
詳細な注解にくわえ、
訳者による随想「エズラ・パウンドとロバート・フロスト〜詩人たちの出会いと別れ」も収録。
第一部
本領をめざして
若者はこれまできっぱりと世間を否定してきたことで、以前のちっぽけな
自分よりもさらにひと回り大きくなれるだろうと確信する。
幽霊屋敷
若者は自分の選んだ社会で幸福になる。
一一月の訪れ
若者は誤解されることを好む。
愛する人とひとつの疑間
若者は愛する人と共にいるときに厄介事の侵入を許すべきか否かで迷う。
晩秋の散索
若者は秋の気分を求める。
星たち
人間の営みに目をくばるものはいない。
嵐の恐怖
若者は自分自身の孤独を恐れる。
風と窓辺の花
若者は冬の風物から現代の愛の物語を作る。
雪解けの風に寄せて
若者は自然の猛威を通して変化を求める。
春の祈り
若者は愛の素晴らしさは進歩的な思想のなかには存在しないことを発見する。
花摘み
あるいは、野心を刺激するようなもののなかにも
それが存在しないことを発見する。
ローズ・ポゴーニア
若者は自然を儀式化する主義に必ずしも反対するわけではない。
薔薇を求めて
あるいは、青春時代のみせかけの儀式主義に反対するわけでもない。
待ちわびて
夕慕に遠く家から離れて若者は一年の変わり目を迎える。
谷間にて
若者は昔の熱き思いからひとつの物語を作る。
夢の痛み
若者は夢によって、それがいかに自分にとってより有難いものであるかを知らされる。
見捨てられて
若者は自分の軽蔑の声が届かない人々に対して軽蔑を示す。
有利な地点
そして、ここにきてふたたび軽蔑するが、誰ひとりとして心傷つけられる者はいない。
草刈り
若者はただほんの些細な仕事で、人生を扱う。
水汲みにでかけて
第二部
顕示
若者は他に助けもないので、少なくとも自分自身にとっては、
わかりやすい人間になろうと決心する。
生きる試練
さらには、魂についての自分の考えをはっきり認識しようとする。
対等な犠牲として
さらには、愛についても、
一叢の花
さらには、友情についても、
死者の戦利品
さらには、死についても、
牧神とともに
さらには、(若者自身の)芸術についても。
デミウルゴスの笑い
そしてさらには、科学についても。
第三部
さあ窓を閉めよう
もう話を終わりにするときがきた。
彼岸嵐の歌
一種独特の秋の気分。
一〇月
若者は自分のもとから、昔のあの頃にとってもっとも素晴らしかった日々が
すり抜けてゆくのをみる。
僕の蝶々
以前と変わらぬままでいられるものなど、決して存在しない。
反逆の心
【補遺】
濶葉樹の森で
注解
【解説にかえて】
『少年の心』における物語的統一性(ドナルド・T・ヘインズ)
【随想】
エズラ・パウンドとロバート・フロスト〜詩人たちの出会いと別れ
訳者あとがき
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