日本の近現代小説の教師像を「先生」の視点から読み直し、現役教師の悩みの構造を図解・分析する文学案内!
著者・訳者 |
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ジャンル |
日本文学(評論) |
出版年月日 |
2019年6月7日 |
ISBN |
9784909812148 |
判型 |
4-6 |
ページ数 |
224ページ |
定価 |
本体1,900円+税 |
在庫 |
在庫あり |
「授業を始めようとしても、生徒が私物をしまいません。
……正直、彼らが何を考えているのか分からないのですが、
いったいどうしたら良いのでしょう?」
その悩みの《答え》、あの小説に書いてあります。
『坊っちゃん』『銀の匙』『銀河鉄道の夜』
『二十四の瞳』『女生徒』『せんせい。』『市立第二中学校2年C組 10月19日月曜日』
『5年3組リョウタ組』そして『告白』……
教科書の定番教材から今世紀のベストセラーまで、
日本の近現代小説の教師像を「先生」の視点から読み直し、
現場の教師が日々直面している悩ましい状況の構造を図解・分析していく、
まったく新しい文学案内!
はじめに
第1章 「先生」と呼びあうことに違和感をおぼえます
先生と呼ばれるほどの……
『坊っちゃん』からはじまる
日本の小説にみる「先生の見本」
第2章 あだ名はどこまで許されますか
『尋常小学読本』の猿之助
教員間のあだ名──「坊っちゃん」の手紙から
『二十四の瞳』の点呼
村民たちの陰口
調停者も代理人もいない「教室」
ウェルテルとミヅホ──湊かなえ『告白』の場合
あだ名と結託
あだ名の副作用
コラム そのとき生徒は①「先生のあだ名」
天麩羅先生ぞな、もし
奥泉光『夏目漱石、読んじゃえば?』
あだ名という「いい換え」──群ようこ『都立桃耳高校』の場合
第3章 生徒対応が苦手です
授業開始時の声がけをどうするか
教師が「キレる」タイミング
極限状態の生徒対応──林京子「空罐」の場合
書道教師のパフォーマンスは、ほんとうに少女を救ったか?
きぬ子の背中
授業空間に「なじむ」のを待つ
第4章 おもしろい授業なんてできません
おもしろさという他者評価
みんなの喜ぶ「修身」の授業──中勘助『銀の匙』の場合
旧制灘中学校の名物授業
「ふつうの授業」の作り方──宮沢賢治『銀河鉄道の夜』の場合
悲観的な先生はお好きですか──高橋源一郎『銀河鉄道の彼方に』
宮沢賢治が「先生」だった頃
悲劇であれ喜劇であれ
コラム そのとき生徒は②「本当はつまらない修身」
或る農学生の憤り
教育勅語と修身
与謝野晶子のラディカルさ
第5章 「先生らしさ」に憧れてしまいます
ロックンロールを語る先生──重松清『せんせい。』
「先生」から遠く離れて
「富田先生」は何歳だったか
「先生らしさ」を必要としているのは大人だけ
第6章 嫌われることも仕事のうちですか?
太宰治『女生徒』の心の揺れ
有明淑の日記
アイドルとファンのように──辻村深月「パッとしない子」
美穂の自意識を追う
教師のプライベート
パブリックとプライベートがうまく棲み分けられない学校
コラム そのとき生徒は③「一対一という幻想」
古川日出男の「ルート転校生」
作家と教師の倫理観
教育にとっての魔術
第7章 世代論が苦手です
世代論は愚痴の闘争?──椰月美智子『市立第二中学校2年C組 10月19日月曜日』
管理職にはなりたくない? ──石田衣良『5年3組リョウタ組』
河合隼雄の説く「権威」と「権力」の違い
型破りな教師の定石
世代論は「権力者」であることの不安を裏返したもの
おわりに
付録・先生の見本